こんにちは。行政書士の内村です。
コラムをご覧いただきありがとうございます。

弊社は知立市を中心に不動産に関するサポートを行っている「住まいる大家族　野村開発株式会社」です。

毎回終活に関することをテーマにしてコラムを書かせて頂いております。

今回のテーマは「信託財産とは」。

終活を進めるにあたって、「信託」という言葉を耳にすることが増えてきました。

具体的に信託財産とは何なのか、どのように活用することができるのか、理解が深まっていない方も多いのではないでしょうか。

今回は、その基本的な概念と、どのように利用できるのかを探ってみたいと思います。

信託財産とは
信託財産とは、簡単に言うと、「信託契約に基づいて、受託者に管理・運用を任せた財産」のことを指します。

信託契約は、財産の所有者（委託者）がその財産を受託者に託し、受託者がその財産を適切に管理・運用して、指定された受益者のために活用する契約です。
信託という制度は、本来は金融や相続の場面で利用されることが多いですが、最近では「家族信託」として注目されています。

家族信託とは、財産を家族間（親族間）で信託する形態で、例えば親が自身の不動産や預金を信託し、子どもや信頼できる親族に管理を任せるといった形です。

この家族信託は、高齢者や障がい者の生活を守るための手段としても非常に有効で、特に認知症や介護が必要な場合に効果を発揮します。

信託財産の種類
信託財産として扱うことができるものは、主に「お金」「不動産」「株式」などです。

これらの資産を信託財産として受託者に託すことで、受託者はその資産を適切に管理し、受益者のために使うことが求められます。

1. お金（預金）

預金などのお金を信託財産として利用することができます。

これは、例えば親が自身の預金を信託し、子どもがその資産を管理することによって、老後の生活費や医療費、介護費用を確保する方法です。

特に預金は管理がしやすく、日常的な支払いに必要な資金を確保する手段として有効です。

2. 不動産

不動産も信託財産として活用できます。

家や土地などを信託し、受託者がそれを管理することで、例えば不動産収入を得ることができます。

もし、親が持つ不動産を子どもが管理する場合、親が介護が必要な状態でも、不動産を活用して収益を得たり、必要に応じて売却して資金化したりすることができます。

3. 株式

株式も信託財産に組み込むことが可能です。

家族信託を通じて、親が所有していた株式を信託することで、受託者はその株を適切に管理し、受益者に安定的な配当を支払うことができます。

株式を活用することで、将来的な資産運用を安定させる手段として非常に有効です。

信託財産の役割と管理
信託財産の最も重要な役割は、受益者の生活や医療、介護、納税等に必要な資金を確保することです。

受託者は、信託財産を管理・運用・保全する義務を負います。

例えば、親が高齢になり、認知症が進行している場合、その親の財産は凍結されることなく、受託者が適切に管理することができます。

これにより、親の介護費用や医療費、日常的な生活費を問題なく支払い続けることが可能になります。

また、信託契約の内容によっては、信託財産の活用方法や分配方法を細かく定めることができるため、受益者にとっても非常に安心感があります。

受託者は受益者のために、その信託財産を適切に運用し、必要な時に必要な分だけ給付することが求められます。

家族信託のメリット
では、なぜ家族信託が注目されているのでしょうか。

その一つは、財産が「凍結」されることなく、必要なときに活用できる点です。

たとえば、高齢になり認知症などが進行してしまうと、自分自身の財産を管理することが難しくなります。

しかし、家族信託を利用しておけば、信託財産は受託者が代わりに管理するため、財産が凍結されることなく、必要な時に必要な資金を取り出して利用することができます。

さらに、家族信託を使うことで、相続における争いを防ぐことも可能です。

相続時にトラブルが生じる原因の一つは、遺産分割の際の不公平感です。

信託財産をあらかじめ明確に管理することで、相続時にどの財産を誰がどのように使うかを事前に決めておくことができ、トラブルを回避できます。
これを、遺言代用機能と呼びます。

お元気なうちに

「お元気なうちに」、これは非常に大切なことです。

終活を考えたとき、信託を利用するタイミングはまさに「お元気なうち」です。

自分の財産を誰に、どのように管理してもらうのかを決めておくことで、将来の不安を少しでも減らすことができます。

そして、もしものときに家族が困らないようにしておくことが、安心した生活につながります。

終活は、ただの手続きではなく、自分や家族の未来を見据えた大切な準備です。

信託を利用することで、より安定した生活を確保する手段を得ることができます。

「お元気なうちに」一歩前に進んで、必要な準備をしておくことが、将来に対する最良の備えとなります。

次回も引き続き、終活に関するテーマを取り上げていきたいと思います。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

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